「私たちも、そろそろ考えないとね。」
夕食のあと、お茶を飲みながら妻がぽつりと言いました。
「お墓のこと。」
その言葉に、私は思わずテレビから目を離しました。
今までは、「まだ先の話」だと思っていたのです。
※この物語は、実際によく寄せられるご相談をもとに、個人や施設が特定されないよう再構成したフィクションです。
第1話 「お墓のことで、子どもに迷惑をかけたくない。」その一言から始まった終活。
私は七十四歳。
妻は七十二歳。
結婚して五十年になります。
子どもは二人。
長男は大阪。
娘は神奈川。
どちらも家庭を持ち、それぞれ忙しく暮らしています。
ある日、妻が新聞を読みながら言いました。
「最近、墓じまいをする人が増えているんだって。」
私は少し驚きました。
「そんな時代なんだな。」
子どもの頃は、お墓を守るのが当たり前でした。
お彼岸には家族でお墓参り。
祖父母のお墓も、父が守っていました。
でも今は違います。
子どもたちは遠くに住み、それぞれ仕事や家庭があります。
「私たちのお墓のために、何度も帰ってきてもらうのは申し訳ないよね。」
妻の言葉に、私は静かにうなずきました。
「そうだな。
お墓を残すより、安心を残したいな。」
その言葉を口にした時、自分でも少し驚きました。
「安心を残す。」
そんな考え方をしたことがなかったからです。
数日後。
終活の本を買ってきました。
そこには、
「永代供養」
「夫婦墓」
「墓じまい」
という言葉が並んでいます。
「いろいろあるんだね。」
妻がページをめくりながら言いました。
私はその中の
『永代供養墓』
という文字が気になりました。
「これなら、子どもたちに負担をかけなくても済むのかな。」
そう思いながら、二人で本を読み進めました。
まだ何も決めていません。
でも一つだけ、夫婦で同じ気持ちになっていました。
「子どもには、安心だけを残したい。」
それが、私たちの終活の始まりでした。
編集部より
近年では、「子どもに迷惑をかけたくない」という理由から、永代供養墓や夫婦墓を選ばれる方が増えています。
ライフスタイルや家族の形が変わる中で、「お墓を守る」から「家族に負担をかけない」という考え方へ変わりつつあります。
まずはご家族と話し合い、自分たちに合った供養の形を考えることが大切です。
終活を始める前に考えたいこと
- 子どもとお墓について話したことがありますか?
- 将来、お墓を守る人はいますか?
- 「自分たちが本当に望む供養」を考えていますか?
- 永代供養や夫婦墓という選択肢を知っていますか?
今回学んだこと
終活とは、「人生の終わりを考えること」ではありません。
大切な家族に、安心を残すための準備です。
私たち夫婦も、その一歩を踏み出しました。
次回予告
見学当日。
終活について子どもたちに話してみよう。
そう決めた私たちでしたが、
「まだそんな話はしないでよ。」
思いがけない言葉が返ってきました。
それでも、話してよかったと思えた理由があります。
あなたなら、
お子さんにお墓の話が
できますか?
「まだ元気だから。」
そう思っているうちは、なかなか話しづらいものです。
でも、元気な今だからこそ、家族みんなでゆっくり話し合える時間があります。
その時間が、将来の安心につながるかもしれません。